COLUMNコラム
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オーストラリアには18世紀ごろからヨーロッパの人々が上陸し始め、次第にイギリスの影響を強く受けるようになっていきました。そのころのイギリスは独立戦争によってアメリカの流刑地を失ったため、新しい流刑植民地をオーストラリアに求めていたのです。その後もオーストラリア内のイギリスの植民地は増え続け、各地域は自治権を認められて発展していきました。
現在でも、オーストラリアにはイギリスの影響が強く残っています。オーストラリアは英連邦国家ですので、元首はイギリスのエリザベス女王です。公用語はイギリス寄りの英語ですが、メディアを通してアメリカ英語の影響も受けており、オーストラリア独特の発音やスラングなども発達しています。車は日本のように左側通行ですが、こちらもイギリスの影響を受けています。
オーストラリアは移民大国で、現在も多くの国から人々が移り住んでいます。両親が共にオーストラリア人という家庭は少なくなっており、シドニーのあるニューサウスウェールズ州では半分以上の世帯が国外出身者を含みます。宗教もばらばらで、6割の方はキリスト教ですが、その他イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、ユダヤ教を信仰している方もいます。また、無宗教の方も2割ほどいます。
この文化の多様性は、オーストラリアと日本が大きく異なる部分のひとつです。街を歩いていると多種多様な言語を聞くことができますし、衣服もさまざまです。また、各国籍のレストランやショップがあるため、ひとつの国にいながら世界中の品に出会うことができるでしょう。
「アボリジニ」という名前で知られているオーストラリアの先住民族は、約6億年前からオーストラリア大陸に住んでいたと言われています。現在は、オーストラリア全体の人口の約2%が先住民族です。
イギリスの入植がはじまってからの先住民の歴史は過酷で、虐待や虐殺が日常的に起こっていた時期もありました。また、白人主義など先住民への差別は現在も残っています。ちなみに、日本ではまだ「アボリジニ (Aborigine)」という名称が使われることが多いですが、こちらの言葉は差別的な響きがあるので好まれません。現在では「オーストラリア先住民(Indigenous Australians)」という言い方をするほうが一般的です。
このように苦しい時代を生き抜いてきた先住民の方々ですが、彼らの作る芸術作品は非常に美しく、オーストラリアのお土産屋さんでは必ずといっていいほど並んでいます。緻密に小さな点で描かれているものが多く、カラフルなのが印象的です。また、観光地として有名なウルル(エアーズ・ロック)は先住民の方の聖地です。こちらは現在先住民からオーストラリア政府に貸し出されていますが、聖地であるという理由から2019年に登山が禁止になります。先住民の方は長年、観光目的の登山を禁止してほしいと訴え続けており、ウルルのふもとには登山をやめてほしいと注意書きをした看板が立っていました。観光で訪れる際は、このような先住民の方の意思をぜひ尊重してください。
初めてオーストラリアを訪れる方は、裸足で歩いている人が多いことに驚くと思います。しかし、これは決してオーストラリアの街が裸足でも歩けるほどきれいである・安全であるというわけではありません。場所にはよりますがごみが落ちていますし、瓶などが割れてガラスが飛び散っていることもあります。オーストラリア人は幼いころから裸足で歩くことに慣れているので(芝生の公園やビーチが多いためでしょうか)、日本人よりも足が丈夫です。そのため、私たちは真似して裸足では歩かないほうがよいでしょう。
下着が透けて見えている、上はタンクトップだけ、ビジネスカジュアルなのに足元はビーチサンダルなどなど。オーストラリアでは日本では驚かれてしまいそうな服装の方を見かけることがあります。また、日本でも最近は増えてきましたが、夏場にはショートパンツやハーフパンツを履いている男性が圧倒的に多いです。警察官でさえ、制服にハーフパンツがあります。
マスクをして外出するということはほとんどありません。むしろ、そのように顔を隠してお店などに入ると不審な動きをしないか疑われます。あまり合理的ではありませんが、外でマスクをするのは避けたほうがよいでしょう。
オーストラリアでは17時から18時くらいにお店が閉まってしまいます。また、閉店ぎりぎりにお店に入っても、閉店までに用事が終わりそうにないと対応を断られることがあります。そして、閉店時間になると(むしろ閉店時間よりも前に)お客さんがいても店じまいを始めます。筆者は一度、郵便局で自動ドアの電源を切られ、外に出れなくなったことがありました。結局お店の人に開けてもらいましたが、日本とは違う対応に少々驚かされました。
ちなみに、木曜日は遅くまでお店が空いています(場所によっては別の曜日です)。それではなぜ、花金ならぬ「花木」なのでしょうか?それはお店の人も花金を満喫したいからです。お客さんのことだけでなくお店の人のことも考える。これはオーストラリアのよいところだと思います。
現地の方はあまり多くの現金を持ち歩きません。オーストラリアでは基本的にどこへいってもデビットカードが使えますし、防犯の面からも持ち歩かないほうが安全だからです。
現金で買い物をした場合、5セント以下のおつりは返ってきません。(カード決済の場合は表示金額通りになります)また、店員さんはおつりを間違えることがしばしばあります。現金で買い物をする際は、おつりをしっかり確認しましょう。
高級レストランや観光地のレストランなどを除き、チップを払う習慣はありません。しかし多くの場合、レジのそばにチップを入れる瓶が置いてあります。サービスに満足したら、そちらの瓶にチップを入れてあげてください。
肉、魚、野菜などは量売りが一般的です。もちろん、日本のようにパックになっているものもあります。自炊をすれば必要な食材を必要な分だけ買えるので、非常に節約できます。
すべてのお店ではありませんが、これも一般的な光景です。カバンの中身を見せるように言われたら素直に従ってください。店員さんは盗難を疑っているわけではなく、決まり事としてチェックしているだけなので、気を悪くしないようにしましょう。
オーストラリアでは「トラックワーク」という線路の整備が頻繁に行われます。トラックワークは通常土曜日と日曜日の週末に行われ、この間対象となっている区間はすべて電車が止まります。バスの代行運転があるものの、トラックワークの間は時間通りに動けないことを覚悟しておきましょう。この時間帯は遠出を避けるのが無難です。
オーストラリア英語で「バービー」と呼ばれるBBQ。オーストラリアでは非常に人気な料理で、パーティやイベントごとでは必ずバーベキューが催されます。また、多くの家庭はバーベキュー用のコンロを持っています。
バーベキューはお肉のみで食べることもありますが、サラダなどと一緒にパンにはさんで食べるもの一般的です。日本の焼き肉のようにタレは無く、お肉はそのままか既に味のついているものが売られています。
日本では苦情ものですが……オーストラリアではたびたび見かける光景です。ただし、洗濯物ににおいがついたり騒音で苦情が来ることもあり得ますので気を付けてください。
オーストラリアでは道のわきに粗大ごみを置いておくと自治体が回収してくれます。そのため、粗大ごみの日が近くなってくると、毎回大量の家具などが道端に放置されます。中にはまだまだ使えるものも多いので、「もったいない」という感覚は日本人よりも薄い人が多い気がします。また、レストランでも食事を残す人が多いです。
これらの点に関しては、ものや食べ物を大切にする日本の文化を誇らしく思いました。
オージーはよく言えばおおらか、悪く言えば適当です。「〇〇までに××するよ」はあまりあてにならないので、大切な手続きなど期限が過ぎても音沙汰がないものに関しては必ず連絡をとりましょう。ただし、この適当さがよい方向に働くこともあります。ダメもとでお願いしてみると意外と例外を認めてくれることがありますので、なにかしてほしいことがあるときはしっかり意思表示をしましょう。
公園や道端での飲酒は禁止されています。場所によっては飲酒が認められていたり、イベントなどで一時的に飲酒可能になっていたりしますので、事前にしっかりチェックしましょう。また、オーストラリアではライセンス(販売許可)があるお店しかお酒を販売できません。日本のようにコンビニやスーパー、薬局などでお酒は扱っていないので、お酒を買う際は専門店に行きましょう。
日本のバスはバス停に人がいると必ず止まってくれますが、オーストラリアでは合図をしないと止まってくれません。手を挙げたり振ったりして、運転手さんにバスに乗る意思があることを伝えましょう。ただし、バスが満員の場合は合図を出してもスルーされることがあります。
オーストラリアではお店に入ると「How are you?」と声をかけられることがあります。その際は「Good, thanks.」と返すようにしましょう。「I’m good, thank you. And you?」と聞き返すとさらに丁寧ですが、普通のお店でそこまでする必要はないでしょう。
また、電車内で席を空けてくれた時などは「Thank you.」と伝えましょう。日本では特に反応を返さなかったり会釈で済ませてしまったりする人も多いですが、オーストラリアでこの態度をとると非常に失礼です(そもそも会釈は通じません)。
こちらは有名なのでみなさんご存知かと思いますが、食事中に音を出すのは嫌われます。麺や熱いものをすするときについ音を立ててしまいがちですが注意しましょう。
学校や仕事は時間通りにいかなければなりませんが、パーティは遅れていくのが礼儀です。むしろ、時間通りについてしまうと主催者は困ってしまいます。1時間ほど遅れて行くとちょうどよいでしょう。開催時間に到着しても、ほとんど人がいない、ということもよくあります。また、ホームパーティにはお酒や食べ物などを持参していくのもマナーです。
まとめ
以上、オーストラリアの文化、習慣、マナーに関してご紹介いたしました。聞いたことがあるものもあれば、今回初めて知ったというものもあるかと思います。
一番最初にお伝えしたように、渡航先の習慣などを学んでおいてそれらに従うことは礼儀であると思いますし、現地の方と良好な関係を築くために非常に大切なことだと思います。郷に入っては郷に従えで、楽しいオーストラリア生活を送ってください。